一次審査通過作品 ※音源は冒頭のみ
完成度の高さが群を抜いている。アイデア自体に非凡さは感じないが、確かな筆致で書き切 っている点を評価した。
足本 憲治(国立音楽大学准教授)
ストラヴィンスキーのようなタッチの楽しい音楽。
難易度のバランスもうまく設計されているが、もう少し遅いテンポが必要かもしれない。
鈴木 優人(指揮者・作曲家・鍵盤奏者)
とてもよく書けている。このような軽快な現代曲は、多くの人にも受け入れられるだろう。基本のモチーフも良い。ただ、いくつかのパートを経て最初のテーマが出るのは、とても古典的な構成となり、新鮮味がないと感じる。もう少しハーモニーに拘らない方法を模索してはどうか。
久石 譲(作曲家)
自身の音楽を情熱の伴った音へ託し聴かせる力を感じる。楽想の展開において、些か清新さに欠ける点は惜しいところ。
足本 憲治(国立音楽大学准教授)
個性豊かで面白いミニマル・ミュージック。
サウンドが非常に複雑なので、素晴らしいカルテットが必要だ。
鈴木 優人(指揮者・作曲家・鍵盤奏者)
この作品は“くり返し”を基本としたミニマル音楽の語法を取り入れた現代曲である。第一曲の同じ音型と響きが続くのは、やや重く僕には感じる。フィリップ・グラスの「ミニマルはくり返すのではなく、どう変化させるかが命だ」という言葉を思い出す。第二曲も、書法に破綻はなく、手がたく書かれている。もう少し実験的な試みをしてはどうかと思う。
久石 譲(作曲家)
音楽の運び方に上手さを感じる作品。
随所に見られる「作り」の凡庸さや、それぞれのジェスチ ャーに見られる「吟味の足りなさ」については今後の飛躍に期待したい。
足本 憲治(国立音楽大学准教授)
背景とバリのサウンドが気に入った。グルーヴをスムーズに出すためには、マリンバパートに奏者は合わせるといいかもしれない。
鈴木 優人(指揮者・作曲家・鍵盤奏者)
軽やかな楽曲である。マリンバのミニマル的な音型が続いていくが、メロディが現れるとその音型はたちまち伴奏のようになるので注意が必要だろう。同時に、一時代前のような古さも出る。しかし、これだけの長さを書くことは作曲家にとって重要だ。しっかりしたテクニックを持っているので、もっと前衛的な挑戦をしてはどうか。
久石 譲(作曲家)
審査中、実際の演奏をホールで聴きたいと思わされた作品としては随一。独特の音世界を作り上げている。所謂モティーフを使用するというアイデアを否定はしないが、後半に向けて何かもうひとアイデア無かったか、と感じさせてしまう点を惜しく思う。
足本 憲治(国立音楽大学准教授)
明るいイ長調の色彩と、どちらかというと弾きにくそうな行き当たりばったりのリズムが楽しい。
鈴木 優人(指揮者・作曲家・鍵盤奏者)
ヴァイオリンまたはヴィオラに引きつぐ16分音符の無窮動の音型を中心に前半は進んでいくが、それに絡むオーボエ、クラリネット、コントラバスなどが、微妙な変化を生んで面白い。それ以降はミニマル的なカノン、リズムのカノンなど変化に富んでいるが、もう少し要素を削って単一素材に集中すると、曲に強さが増すと思う。
久石 譲(作曲家)